みなさんこんにちは!
長崎県長崎市沖に浮かぶ小さな軍艦島(正式名称は端島)。
コンクリートの廃墟が密集してそびえ立つ外観が軍艦に似ていることから、そう呼ばれるようになった場所ですね。
ユネスコの世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産にも登録されており、長崎を代表する観光スポットのひとつになっています。
そんな軍艦島に、清水建設が56年ぶりの新築を完成させたというニュースが2026年4月に飛び込んできました。
廃墟の無人島に新しい建物ができた、しかも半世紀以上ぶり、と聞いて、どういうことだろうと気になった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、軍艦島に清水建設が竣工させた「72号棟」を取り上げ、建てた理由やそこに込められた技術・工夫まで詳しくお伝えしていきます。
読み終える頃には、この小さな新築が軍艦島の未来に向けた大きな一歩だと感じていただけるはずです。
▼この記事でわかること
- 軍艦島の「72号棟」の規模・場所・設備の全貌
- 世界遺産の島ならではの制約と、清水建設が採用した独自工法の中身
- 研究拠点と一時避難所という2つの役割が生まれた背景と理由

軍艦島で今後どのような活動を行っていくのか、気になるところですね♪
軍艦島に竣工した「72号棟」とは?清水建設が56年ぶりに新築した建物の全貌
軍艦島に清水建設が竣工させた「72号棟」は、木造平屋建ての研究拠点施設です。
ここからは、その詳しい中身を一緒に見ていきましょう。
72号棟の概要〜木造平屋・52㎡の小さな建物がスターリンクを備えた理由
72号棟は建築面積52.44㎡・高さ3.11mの木造平屋建てで、2026年4月16日から運用が始まった施設です。
この建物は、軍艦島に建てられた72番目の構造物なんです。
直前の71号棟が1970年の竣工とのことで、そこから数えると実に56年ぶりとなる新築です。
場所は島の北側、かつて子どもたちが通っていた旧端島小中学校の近く。
周囲には潮風と時間に削られたコンクリートの建物が並ぶ中、真新しい木造の小屋がポツリと立っている光景は、なかなか印象的です。
さて、72号棟の設備を見ると、無人島の施設とは思えない充実度です。
まず注目したいのが通信環境。
米スペースXが提供する衛星通信サービス「スターリンク」を導入しています。
外洋の孤立した島でインターネット接続ができるというのは、調査や研究を行うチームにとって非常に大きな意味を持ちますよね。
調査データのその場での共有や、島外との即時連絡が可能になった点は、端島炭坑の保存研究にとって大きな前進だと感じます。
星空の中を渡ってゆくスターリンク衛星の光の列。
実際の約8倍速で再生されます。肉眼でもはっきり見えました。
(今週、新潟県佐渡島にて撮影) pic.twitter.com/S17H3bIHJA— KAGAYA (@KAGAYA_11949) August 2, 2025
それにしても、イーロンマスクは本当にスゴイですよね。
地球上で、電波が繋がらないところは無くなっちゃいますね。
電力については、地面に敷き詰める「舗装型太陽光発電システム」を採用。
35cm角の発電ユニットを20枚ほど設置し、その上から歩けるタイプのものだそうです。
踏んで歩ける太陽光発電というのは初めて知ったので、調べてみて思わず「へえ!」となりました。
空調・照明・通信をまかなえる程度の電力を、島内で自給できる仕組みです。
さらに、端島には上下水道がありません。
そこでトイレには循環型の新しいシステムを採用しています。
洗浄水400リットルの初期投入で約2500回使えるという仕組みで、その後の汚物の有効利用についても研究を兼ねて運用されるそうです。
こうして見ると、52㎡という小さな建物の中に、離島ならではの工夫がぎっしり詰まっているのがわかりますよね。
杭打ちができない世界遺産の島で、清水建設が使った独自工法とは?
72号棟の建設でもっとも興味深いのは、清水建設が世界遺産ならではの制約をクリアするために使った独自の工法です。
調べていて最初に「なるほど!」と膝を打ったのが、この部分でした。
軍艦島はユネスコの世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつ。
史跡に指定されているため、地盤を掘ったり杭を打ち込んだりする工事が認められていないんです。
普通の建物を建てるとき、基礎を地面にしっかり固定するのは当然の工程ですよね。
それが一切できないとなると、強風が吹いたときに建物が倒れるリスクが出てきます。
外洋に浮かぶ軍艦島は、潮風や高波が容赦なく押し寄せる場所ですから、なおさらです。
では、清水建設はどうやってこの問題を解決したのか。
使ったのは「ジャカゴ」と呼ばれる金属製の網目状のかごでした。
この中に、長崎市が管理する島内で採れる砕石やがれきを詰め込み、建物の外周に並べて重しとして活用したんです。
外から大量の建設資材を船で運び込まなくても、島の中にある素材をそのまま使えるという、とてもスマートな発想だと思いました。
こちらの映像でその様子が確認できますので是非参考にしてみてください。
建物自体の構造にも工夫があります。
「シミズサイクルユニット」という技術を活用しており、全国で購入できる一般的な木材で作られています。
柱・梁の組み立てから外壁パネルの設置まで、重機を使わず人の手だけでこなせる仕様で、駆体部分の工期はわずか5日程度とのこと。
改めて、なかなかできることではないと思います。
さらにこの建物、将来的には解体・移動もできる仮設型の設計になっています。
インフラが整っていない地域や、急な復旧が必要なエリアへの応用展開も視野に入れているそうで、軍艦島という過酷な環境がそのまま技術の実験場になっているわけですね。
「文化財の保全」と「最先端の建設技術の開発」が同じ場所で同時に進んでいる、なかなか面白い取り組みだと感じました。
- 72号棟は木造平屋・52㎡で、スターリンク・舗装型太陽光・循環型トイレを備えた自立型施設
- 杭打ちNGの史跡に対し、島のがれきを詰めたジャカゴを重しに活用。

地面に杭が打てないのに、強風でも倒れない建物が5日で完成するって、すごくないですか?
清水建設が軍艦島に新築を建てた理由とは?崩壊が進む端島炭坑が抱える”2つの使命”
清水建設が軍艦島に72号棟を建てた理由を大まかに整理すると、以下の通りです。
- 老朽化が進む建造物の調査・保存を加速させるため、島の中に研究拠点が必要だった
- 観光客が訪れる無人島として、緊急時に身を守れる場所を整備する必要があった
このあと、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
老朽化が止まらない廃墟の島〜研究拠点が今こそ必要だった背景
72号棟が建てられた一番大きな理由は、老朽化が急速に進む軍艦島の建造物を守るため、島の中に腰を据えて活動できる研究拠点が必要だったからです。
ここを知ると、軍艦島の現状がリアルに見えてきます。
1959年、この島には約5300人もの人が暮らしており、当時の人口密度は世界でもトップクラスでした。
活気あふれる島の面影を残す建物たちが、今は人けのないまま密集して立っているわけですね。
1974年に端島炭坑が閉山してから、島は無人のまま時間を重ねてきました。
外洋に浮かぶという立地の特性上、塩分を含んだ潮風がコンクリートに染み込み続け、強風や波にさらされる環境は、建物にとって非常に過酷なんです。
清水建設の担当者が「ここまで過酷な環境で劣化した建物は、生きた教材として活用できる」と語るほど、状況の特殊さが伝わってきます。
もともと清水建設は、軍艦島と非常に深い歴史的なつながりを持つ会社です。
大正年間に建てられた「30号棟」は、日本最古の鉄筋コンクリート造集合住宅とされており、その新築工事を担ったのも清水建設でした。
島内に残るほぼすべての建造物の建設・保全に関わってきた経緯から、長崎県長崎市との間では2015年に連携協定を締結。
今回の72号棟は、その協定に基づく取り組みの第1回として実現しました。
研究拠点が整ったことで、調査のたびに島外から往復していた手間が省け、現地に根ざした調査が可能になりますよね。
将来的には、立ち入りが難しいエリアをVR(仮想現実)で体験できるコンテンツの制作も計画されているそうです。
廃墟としての価値を守りながら、どう次の世代へつないでいくか。
72号棟はその長い取り組みの第1歩なんだと思います。
観光客の一時避難所も兼ねる〜無人島ゆえのリスクと安全対策
72号棟のもうひとつの役割は、軍艦島を訪れる観光客が緊急時に身を寄せられる一時避難所です。
2009年に一般上陸が始まってから、軍艦島への来訪者数は年々増え続けています。
炭鉱跡と廃墟が広がる無人島という唯一無二の空間は、多くの方を引きつける観光地になっていますよね。
ただ、観光客が集まる場所でありながら、無人島であることのリスクは常にあります。
急な天候の変化で船が出せなくなるケースや、体調を崩した方が出ることも、まったくないとは言えません。
外洋の島である軍艦島は、上陸の可否が波の高さや風速・視程など細かい条件によって判断されるほど、環境の変化が大きい場所です。
これまでは荒天時などに観光客が逃げ込める施設が整っていなかったことを考えると、72号棟の完成は安全面での大きな前進と言えますよね。
ひとつの建物でふたつの使命を担うことで、限られたスペースを最大限に活かしているのが、うまいと思いました。
長崎市の副市長も「安全で快適な環境で保全・整備に取り組んでいただける、非常に意義深いもの」と話しており、行政としての期待の高さが伝わります。
ちなみに将来的には、備蓄倉庫の整備も検討されているそうです。
少しずつ、でも着実に、軍艦島の環境が整えられていくんだなと感じました。
- 老朽化が進む軍艦島の建造物保存を加速させるため、島内に研究拠点が必要だった
- 観光客の一時避難所という2つ目の役割も兼ね、無人島としての安全環境を整備

研究する人の拠点と、観光客の安全確保を一度に実現しているのが、すごく合理的ですよね。
軍艦島がこれからどう変わっていくのか、引き続き楽しみです!
【まとめ】軍艦島に56年ぶりの新築を清水建設が竣工!建てた理由とは?
今回は、軍艦島(長崎県長崎市・端島)に清水建設が竣工させた「72号棟」について、その概要と建てた理由をまとめてきました。
56年ぶりの新築というインパクトだけでなく、独自工法の工夫や島の保存・安全への思いを知ると、この小さな建物の存在感がぐっと大きくなりますよね。
- 72号棟は木造平屋・52㎡で、スターリンクや舗装型太陽光など最先端設備を備えた研究拠点施設
- 杭打ちNGの世界遺産の島で、島のがれきを詰めたジャカゴを重しに活用した独自工法を採用。重機不要で5日で組み立て可能
- 老朽化した建造物の保存研究と観光客の一時避難所という2つの役割を担う、軍艦島の新たな拠点

廃墟の中に生まれた新しい建物が、島の未来を守る拠点になるっていくんですね。
軍艦島がこれからも大切にされ続けてほしいなと思います。
参考資料


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